ますますパリが愛おしくなる映画『パリ・ジュテーム』

パリ行きが決まると同僚に必ず言われるのが「いいなぁ、おフランス」
この'おフランス'という言葉には、優雅でお洒落な国、ファッショナブルな雰囲気など、少々『夢の国』的要素が感じられるのを否めない。そんな夢見心地な同僚の妄想を壊さないよう、苦笑いをしながらも決して'おフランス'を否定しないでおこう。

私の初めてのパリも、そんな『夢の国』的なイメージを日本でたっぷりと入手してのものだった。実際パリのイルミネーションはまるで宝石のようだったし、シャンゼリゼ通りのカフェで過ごす人々は輝いていて思わずあの名曲「オーシャンゼリゼ♪」を口ずさみそうになったし、エッフェル塔や凱旋門を目の前にすると感動で心震えた。がしかし、そんな観光地を通り過ぎ普段の暮らしを垣間見ると、私たちと変わらない生活模様なのです。

パリに短期アパートを借りて'暮らすように旅する'を体験したときのこと。エレベーターのない3階にある部屋、アパートの階段は木製で今にも壊れそう… 朝7時過ぎにはギシギシと階段を降りる音。そしてパリのメトロはもっと現実へ引き戻される。通勤時間帯はやはり混んでいるし、なんといっても慣れないうちは鼻がひん曲がりそうになるほどの独特の匂い。落ち着かない壁の落書き。おフランスとはほど遠い… 。このギャップとフランス人の自己主張の強さに、パリへ憧れをもってやって来た日本人が精神的にやられてしまい、「パリ症候群」という本まで出版されました。

過剰なイメージばかりが先行してがっかりされるのは残念過ぎる!パリは非日常の夢を味わうアトラクション的な魅力を大部分の観光客に魅せてくれるけれどその反面、現実の生活をつい忘れさせてしまいがち。そんなパリ20区で巻き起こる夢と現実をユーモアさとシリアスさを交えて垣間見せてくれる『パリ ジュテーム(Paris j'taime)』 をパリ旅行の予習として観てみるのはいかがでしょうか。
2006年のフランスの映画。世界中の18人の監督による「愛」をテーマにした短編オムニバス映画である。パリ20区のうち18の区を舞台に、1区につき約5分間の短編映画にしている。

ウィキペディアより
個人的には映画の中の "14区 (14 arrondissement)アレキサンダー・ペイン監督の作品が心に沁みた。異国の地パリに来て孤独を感じるも、パリを愛し始めていることに気付く主人公は、まるで自分を見ているかのように感じて思わず映画館で涙したっけ。

20の区からなるパリの各界隈の景色も見どころ。それぞれの物語からパリを客観的に観させてくれる。パリも私たちと同じように普段の生活の中で様々な人生が繰り広げられているということを頭の片隅に置いておくことは、'おフランス'な夢見心地さを残したままパリ旅行を味わうことに有効かもしれません。

私を再発見するフランス旅

大人になってから、新しいことを1から始めるって新鮮◡̈⋆ 少しずつ体験していった、フランス旅について綴っています。

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